中国宮記

純ジャパ。中国語の宮殿に囚われて9年目。中国語(ネイティブチェック済み)の日記と日本語訳載せてます。語学勉強にぜひ。

ほむほむと鳥肌

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鳥肌が

 読書日記 穂村弘著「鳥肌が」

     卒論提出前、精神の治安が悪い時期にキンドル還元セールで買った本。ほむほむのふわふわした文章に癒された。短くて、とにかく終わりが鮮やかで過不足がないのがすごい。半分ぐらい読んで気づいた、ほむほむってあんまり家族のこと書かないんだよな。あるんだけど、友達とかとそんなに変わらないような距離感、熱加減で書かれてて、だから読んでてしんどくないんだよなあ。作家の自分の子供の話とか時々チクリと刺されるようなわたしにとってはうれしい。

 人によっては「親」だとか「兄弟」とか「恋人」とか「子ども」とか、触れられたくないトピックがある訳で。だからといってエッセイストやママタレントとかに配慮を求めるとかそういうのは行きすぎだとも思う。だって彼らはそれが商売なのだから。

 でも時々、わたしに対しての態度はものすごく適当なのに、SNSでは自分の子どもには物凄い真剣ななんてところを見ると怖いのだ。わたしは他人なのだから当たり前だとしても、これだけは言いたい。それでもやっぱり怖いもんは怖い。血がつながっているだけで、人に無関心な人がこんなにも変われるんだ。

 この話は鳥肌が立つような、自分だけ感じるような怖さについて書かれている。一番インパクトが強かったのは「母」なるもの、というタイトルの話だ。これには母性愛特有の行きすぎた、というか斜め上の愛について書かれている。自分が怖がってたもんはこれだったんだ。

 エッセイに刺されて、えぐられることもあれば、ほむほむの文章みたいに、寄り添ってくれるエッセイもある。だから、読むのはやめられないっ。